草の根化するカルトとネット社会 ~ひとりカルトの時代に~
草の根化するカルト
長年カルト問題に関わっている方から聞いたのは、カルトの草の根化。
共同体、政治団体、学校、自己啓発や健康などのセミナー、地域のサークルに至るまで、あらゆるところで、カルト的集団が生まれていて、とても把握しきれないということでした。
いわゆるブラック企業とは、企業がカルト化している状況とも言えます。
カルトの常套手段が、情報の遮断
カルトの特徴の一つは、情報の遮断です。
そのカルト集団にとって都合の悪い情報は、極力触れさせないようにする。
カルト宗教の典型的な手口は、入信者に、学びを始めると周囲から妨害が起きるが、悪魔の業だから惑わされないように、などと言うわけです。
ブラック企業で、過労死に追い込まれる人も、会社が生活のすべてを支配する状況で、周囲から遮断されています。
この情報社会に、なぜカルトが増えるのか?
スマホの普及によって、これまでになく、ネット社会が広がり、誰もが世界中の情報に気軽にアクセスできるようになっているはずです。
なのに、なぜ、カルトが増え続けているのでしょうか?
世界中に蔓延しているイスラム国(ISIS)は最たるものです。ネット社会を背景に、むしろカルトの脅威が増しています。
世間一般では、とても受け入れられないような極端な意見でも、ネット上であれば、誰かが肯定的な反応をしてくれます。
むしろ、極端な意見ほど、同志を募りやすい環境があります。
リアルな世界では、疎外感を覚えている人々だけに、団結も強まります。
そういう状況を巧みに利用している組織の典型が、イスラム国なのでしょう。
類は友を呼ぶ 同質化しやすいのが私たち?
そもそも人間は、似たもの同士で集いやすいものです。
世界的に、同質な者ばかりが集っていく…。ふと気づけば、自分にとって心地よい情報しか、周囲にない。そんな状況に陥ってはいないかと問われます。
実はネットこそ、今の世界の分断をもたらしている根源ではないかと思えてなりません。
ネット社会において、どう、自分と違う人たちとの接点を作っていくか。私たちに突きつけられた大きな課題なのではないでしょうか。