聖徒伝74 士師⑧ 士師記15~16章 サムソンの最期 神の憐れみをあなどるな
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1.サムソンの戦い 15章
一方的な結婚の破談で妻を他の男のものとされたサムソンは、火をつけたジャッカルを放ち、ペリシテ人の畑に大打撃を与えました。
天然の要塞である岩場に住んだサムソン。彼は、士師として侵略者のペリシテ人と戦っていたのだと思われます。
サムソンに適わないペリシテ人は、ある時、ユダの町を侵略しました。
ユダの人々は、あろうことか、サムソンを、われわれの支配者ペリシテに逆らったと言って問い詰めました。
サムソンは、同胞との戦いを避け、敵への引き渡しに同意したのでした。
この時、サムソンは、ロバのあご骨で、千人のペリシテ人を打ち殺しました。
誓願を立てたナジル人であるサムソンが、なぜ、死体に触れる禁を破って、そんなものを武器に選んだのか。信仰のちぐはぐさを感じます。
戦いの後、ひどい乾きを覚え、初めて主を呼び求めたサムソンに、神は、泉を湧き出させ、憐れみをかけました。
2.サムソンの最期 16章
あるとき、サムソンはペリシテのガザで遊女を買いました。
暗殺の陰謀を察したサムソンは、町の門をまるごと引き抜き、担ぎ上げて出て行きました。
多くの恵みを神から受けながら、己の思いのままに生き続けている、信仰の幼子のままの姿がそこにはあります。
サムソンは、最初の過ちを犯したティムナのあるソレクの谷で、デリラというペリシテの女に惚れ込みました。
同じ過ちを繰り返す、懲りないサムソン。
ペリシテの領主たちは、デリラに、サムソンの弱点を教えれば、大金を与えると持ちかけます。デリラは、弱点を聞き出そうと躍起になります。
不可解なのは、見え透いたデリラの魂胆にも関わらず、ヒントを与えていくサムソンです。
デリラは次第に核心に迫り、ついに伸ばした髪こそサムソンの力の源だと聞き出します。
髪に力があったのではありません。重要なのは、ナジル人の誓いを破ることで、サムソンが、その心をデリラに明け渡してしまったということです。
サムソンは捉えられ、両目をえぐられ、臼を引かされました。かつて誇った怪力は、見る影もありませんでした。
ペリシテ人の盛大な祭りに、見世物として引き出されたサムソンは、主を呼び求め、最後の願いをします。
神殿を支える二本の柱を押し倒し、かつてない数のペリシテ人を巻き添えにして、サムソンは息絶えたのでした。
3.ただ主を信頼する者になろう
死後、ようやく故郷の相続地に戻ったサムソン。しかし、律法に背き続けた彼が、信仰者と呼ばれています。(ヘブル11:32)
サムソンは虜囚の身で悔い改め、人生の最後に確かに主に立ち返ったのでしょう。
実践を伴わなければ、信仰の成長はありません。霊的幼子ほど、形に捕らわれて信仰の本質を見失ってしまいがちです。
サムソンの力の源は、髪ではなく、神にこそありました。
伸ばした髪に力があると思い込んでいたサムソンは、深刻な霊的後退に陥っていました。
ヘブル書が列挙する信仰者の理由の一つが、心にとまりました。
「弱い者なのに強くされた(ヘブル11:34)」 それがサムソンであったのだと思います。
罪を侮らず、自分の弱さを自覚しましょう。弱さを思い知らされた者こそ、主の計り知れない恵みを味わい知ることができるからです。