聖徒伝89 ダビデ篇⑤ Ⅰサムエル記25~26章 ダビデまたもサウルを見逃す 「心頑なにされる前に」
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1. ナバルとアビガイル 25章
サムエルの死は、時代の区切り。完全な王政に移行したイスラエルですが、サウルは主に見捨てられ、ダビデは逃走中。王国の将来が憂慮されます。
荒野にいたダビデは、羊毛の刈り取りの頃に、地元の有力者ナバルに使者を送りました。
祝いにあずからせて欲しいとの丁重な挨拶に、ナバルは最悪の侮蔑で応えました。
激怒したダビデ。名誉を重んじる世界では、侮蔑した相手を討つのは当然の仕打ちです。
危機を察したナバルの僕は、妻アビガイルに報告しました。荒野で羊の番をする彼らを守ってくれたのがダビデでした。恩義を感じていたのです。
アビガイルはすぐさま、ありったけの祝いの品を手に、出立します。間一髪、今まさに攻撃に下ってくるダビデの一団と遭遇したのでした。
ひれ伏して夫の罪を謝罪し、憐れみを乞うアビガイル。決死の懇願は、神がダビデ王家を建て、永遠に守られるという預言的領域にまで達しました。
ダビデはさやを収め、主とアビガイルの判断をたたえます。十日後、ナバルは主に討たれて死に、やもめとなったアビガイルはダビデに娶られました。
2. 再びサウルを見逃すダビデ 26章
密告を受け、3千人の精鋭部隊を率いて南下したサウル。ダビデこそ王だと告白しながら、追撃隊を維持し、悔い改めなく王権に執着していました。
ダビデは、二人の部下を連れ、王の陣に忍び込みます。無防備に眠るサウルを殺そうと訴える部下を、ダビデは、主が油注がれた方に手を下してはならないと言って厳しく戒めました。
ダビデは、遠く離れた山の上から、証拠の槍を手に、サウルに呼びかけます。自分には敵意も野心もないこと。主の前の潔白を改めて訴えたのです。
間違いを犯したと言うサウルは、口先だけでした。義を通したダビデ、罪陥ったサウル。これが、それぞれの道を歩んだ両者の、最期の別れでした。
3. 悔い改めを拒んだ末路を考える
神が油注いだダビデを侮辱したナバルは、神をも拒む大罪を犯しました。悔い改めなかったサウルも同様です。
憐れみ深い神は、私たちの過ちを指摘され、何度でも悔い改めの機会を与えられますが、いつか終わりが来ます。
今しかないという切迫した瞬間を逃さず行動したアビガイルは、命を救われ、神の大きな恵みにあずかりました。
口先だけで行動を伴わない者は、神を欺いてます。福音を信じた者から救いが失われることはありませんが、厳粛な罪の刈り取りは免れません。
信仰者だと信頼してい人が、世的にも大きな罪を犯す。それが現実です。
人の罪にありえないことなどありません。敵は、的確に巧みに私の、あなたの弱点を攻撃します。神がそれを許されています。
聖化の歩みで必ずぶち当たる自分自身の問題がありますが、覚悟して向き合えば、主が必ず助けてくださいます。
主が与えた試練は実を結びますが、己の招いた災いには喪失しかありません。逃避と喪失ではなく、実を結ぶ神の試練の道をこそ選び取りましょう。