聖徒伝22 ヤコブ⑤ 創世記34~36章 人生の谷間を越えて シェケム事件 ディナの凌辱とシメオン、レビによる虐殺
【メッセージアウトラインPDF】22_ヤコブ⑤_ディナ事件_イスラエルの再出発_200209
1. シェケムでの事件 創34:1~31
同世代の娘たちと遊ぶため、シェケムの町に出かけたディナ。ところが、族長の息子シェケムに捕らえられ、レイプされてしまいます。
謝罪もなく、ディナを娶りたいとヤコブに申し出たシェケムと父ハモル。沈黙する父に代わって答えたシメオンとレビは、シェケムの男子全てが割礼を受けることを条件に挙げました。
割礼から3日後、シェケムの男たちが傷で苦しむただ中、町に乗り込んだシメオンとレビは、安々とすべての男子を虐殺し、略奪した挙句、ディナを連れて帰ってきました。
地元民の報復を恐れたヤコブの口から出たのは、保身の言葉だけでした。この章に、神の名は一度も出てきません。
2. ベテルでの再出発 創34:1~15
ここで主が介入し、ベテルに上り、礼拝するようヤコブに告げます。求められたのは、信仰の原点への回帰でした。
一族に蔓延していた偶像を取り除き、旅立ったヤコブを追う者はいませんでした。主が、約束通りに守られたのです。
ヤコブは、ベテルに上ると、祭壇を築き、エル・ベテル(神の家の神)と名づけ、主を礼拝しました。
この頃、ヤコブの母リベカの乳母デボラが死去しました。祖母同様の存在だったと思われます。母リベカもすでに亡くしていたヤコブは、さらなる悲しみに襲われたことでしょう。
真実の帰還を果たしたヤコブに、神は、再度“イスラエル(神が共に戦われる)”という名を授けられました。
“エル・シャダイ(全能の神)”なる主は、ヤコブの子孫の繁栄と土地の授与というアブラハム契約の内容を再確認されたのでした。
3. ラケル・イサクの死 創35:15~
この後、最愛の妻ラケルが、末子ベニヤミンの出産時に死去。これで、イスラエル12氏族の先祖が揃ったことになります。
長子ルベンは、ヤコブの側女ビルハを寝ました。これは父の権威の略奪を意味する反逆です。
ルベンは、ラケルの最初の子ヨセフを長子扱いしていたヤコブに反逆して、自らの手で長子権を得ようとしただと思われます。
4. 人生の谷間を越えて
神との格闘、兄との再会という人生の山場を越えたヤコブは、神の家(ベテル)を目前に足をとめてしまいました。
欲望むき出しの都市文明に魅惑され、偶像礼拝に染まった一族は、ディナの強姦と、シェケムの虐殺という惨劇に陥ってしまいます。
信仰の歩みを止れば、簡単に足をすくわれます。世にあって、私たち信仰者は旅人なのだと心に刻みましょう。平安の地は、来るべき神の国の故郷にあります。
偶像を捨て、悔い改めたヤコブは、信仰の原点ベテルで主を礼拝しました。
ヤコブは、再確認された神の約束に、全信頼を寄せ、信仰を告白したのです。
私のために十字架にかけられた、主イエスの贖いを身に刻みましょう。
罪と悪から解き放たれ、赦されるべきは、私の心、魂です。
“復讐は、私のすること。私が報復する。ロマ12:19”