聖徒伝32 モーセ⑥ 出19~20章「約束の主・契約の民」律法の授与・シナイ契約
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1. シナイ山での主の顕現 19章
およそ2ヶ月かけてシナイ山に到着したイスラエル。
不平不満の絶えない民を、主の約束が導かれました。
イスラエルには、神の律法を遵守する義務と、人類と神をとりなす祭司としての使命があることを、主は告げています。
主と民の間を何度も行き来して、仲介者の役目を果たすモーセ。民は、主に従順を誓い、神はご自身の顕現を約束されました。
神は、シナイ山を獣一匹近寄れない聖域とし、民は身を清めて、主を待ちました。
三日目の朝、山上に雷と稲妻、密雲があり、角笛の音が高く鳴り響きました。
かつてない規模で出現した神の栄光(シャカイナグローリー)に、民は震え上がりました。
こうして契約締結準備が完了したのです。
2. モーセの律法の特徴
神が、シナイ山でイスラエルと結ばれた、モーセの律法(モーセ契約・シナイ契約)。
「十戒」がその中心にあり、全613の条項からなります。実に、出エジプト記20章から、申命記28:68まで渡ります。
律法の七つの特徴です。
①救いの方法ではない。
②神が聖であることを示す。
③旧約時代の聖徒たちの行動基準である。
④人の罪を示す。⑤人にもっと罪を犯させる力となる。
⑥人を信仰に導く。
⑦現在は、役目を終えている。
律法は,イスラエルを導くアメとムチ。ダメと言われると破りたくなるのが人の罪の本質です。
律法は、民に罪を思い知らせ、救い主を求める信仰に導くのです。
モーセの律法は、宗主契約。王が民と結ぶ契約です。
唯一の神が、王として民を支配し、保護し、恩恵を与える。それに対し、イスラエルの民は、主に従う義務を負います。
3. シナイ契約・十戒 20章1~17節
①唯一の神をあがめよ。…ユダヤ教の伝統的な数え方では、「わたしは、主(ヤハウェ)である」という、御名の宣言が第一戒に数えられます。
②偶像を拝むな。…先祖の悪影響がひ孫の代まで及ぶ一方、契約による神の恵みは永遠に続きます。妬まれるのは伴侶の特権。愛の神は、民の不貞を妬みます。
③主の御名をみだりに唱えるな。…神の尊厳や御性質を引き下げてはなりません。
④安息日を覚えよ。…主を信頼し安息する安息日は、契約の民を他と区別する、イスラエルのしるしとなりました。
⑤父母を敬え。…先祖が唯一の神と契約を結び、父母が受け継いだゆえ、父母を通して、神の権威に従うのです。
⑥殺すな。…故意の殺人の禁止です。
⑦姦淫するな。…不貞以外にも、正当な婚姻外のすべての性的罪を含みます。
⑧盗むな。…究極の利己主義が盗みです。
⑨偽証するな。…真実が大切なのは、神が真実の方だからです。
⑩欲しがるな。…貪欲の罪は、すべての必要を満たす神への信頼を否定します。
4. モーセの律法とキリストの愛の律法
人の内に、「罪の律法」があり、心を支配しています(ロマ7:22~24)。
文字に書かれたモーセの律法は、罪の律法に打ち勝てませんでした。
この罪の律法を、キリストが、十字架の犠牲によって打ち破られたのです。
律法の目的は、人に罪を思い知らせ、人々の目をメシアに向けさせること。
キリストの十字架の死と復活によって、律法のすべては、成し遂げられました。
今や、福音を信じたすべての者の内に、聖霊が住まわれていて、生きた律法として正しく導いてくださるのです。