⑬ダビデ 油注がれた王 王国の礎 ダビデ契約
目次
1. 混沌の時代を経て Ⅰサムエル1~15章
400年続いた士師時代の混沌の後、民の強い願いにより、イスラエル初の王に即位したサウル。しかし、彼は神への背きを繰り返し、王の資格を失います。
2. ダビデの召命と試練 Ⅰサムエル16章~
神が選んだ真の王が、ベツレヘムの羊飼いエッサイの末息子ダビデでした。
最後の士師サムエルにより、ダビデは油注がれます。神に王として認められたしるしです。
この後、『油を注ぐ(メシアッハ)』という言葉が転じて、メシアが救い主を現す言葉となりました。
ダビデは、ペリシテ人の戦いで巨人ゴリアテを討ち、名を上げる一方、サウル王の激しい嫉妬を買います。
サウルに命を狙われ、逃亡生活を送るダビデは、サウルを討つ好機を二度も得ながら、手を下しませんでした。神が選んだ王への畏敬の念のゆえでした。
3. ダビデの栄光 Ⅱサムエル5~10章
サウルがペリシテ人に殺された後、、ダビデは、まずイスラエル南部のユダ族の王となります。
その後、エルサレムのエブス人を討ったダビデは、この地を都に定め、契約の箱を運び上げました。
こうして全イスラエルの王となったダビデは、敵に対しても続々と勝利を収めていきました。
4.ダビデの過ち Ⅱサムエル11章~
ダビデは、ある時、部下ウリヤの妻と関係を持ち、子ができると、ウリヤを激戦地へ送って殺してしまいます。
預言者ナタンに罪を指摘されて、悔い改めたダビデでしたが、自ら蒔いた種の刈り取りが待っていました。
バト・シェバとの子は生後まもなく死に、息子たちが殺し合う悲劇が起きます。
さらに長男が反乱を起こした時には、ダビデは、都落ちを経験しています。
部下の信頼を失い、将軍が暴走し、家族関係はズタズタ。それが、ダビデが晩年に経験させられたことでした。
4. ダビデ契約 Ⅱサムエル7:1~17
王に即位するまでの逃亡生活。自らの罪が原因とは言え、辛酸を味わった晩年。その苦難の人生の中でもダビデを支えたもの、それが神との約束でした。
神は、最初に、ダビデをイスラエルの王とすることを決め、油を注がれました。
そして、アブラハム以来のイスラエルとの契約をダビデは確かに受け継ぎ、このダビデと神は新たな契約を結ばれました。それが「ダビデ契約」です。
ダビデ契約は、ダビデの家系からメシアが誕生すること、ダビデの王座が永遠に続くことを約束しています。
究極的には、再臨のイエス・キリストにより、千年王国において、永遠の王座が建てられるのです。
息子の反乱や部下の謀反に苛まれながら、ダビデは、それでも失われることのない神の約束に希望を見いだしていったのです。
5. ダビデに学ぶこと
ダビデは、最後の詩(Ⅱサム23:2~7)で、自分の生涯を振り返り、自分は完璧でも、義なる王でもなかったと告白しています。
ダビデは、自分では成し遂げられなかったことを、やがて来るメシアに委ね、こう歌っています。
『義をもって人を治める者、神を恐れて治める者は、太陽の上る朝の光、雲一つない朝の光のようだ。雨の後に、地の若草を照らすようだ(Ⅱサム23:2)』
今もなお、イスラエルの偉大な王と讃えられるダビデ。しかし、ダビデすら大きな過ちを犯したことを、聖書は赤裸々に記します。
私たちには誰しも、自分ではどうしようもない欠けがあります。
この欠けを埋めることができるのは、ただお一人、罪なき神の子イエス・キリストだけなのです。
ダビデは、後に続くすべての王の模範となりました。
過ちこそ犯しましたが、ダビデの神への信頼と従順は、生涯失われることはなかったのです。