ストーリーで学ぶ聖書 1章 天地創造 最初の罪
1章 天地創造 最初の罪
1.天地創造
はじめに神が天と地を創造された。
最初の完全な世界をまかされたのが、天使たちだった。
あるとき、大天使サタンは、「神のようになろう」として、1/3の天使を従えて神に反逆した。
神は、サタンを天から追い出された。共に地上に落とされた天使たちは、悪霊となった。
牧漠とし、混沌と化した地上は、闇と大水に覆われていた。その世界を神の霊が抱かれた。
神は言われた。「光あれ」
神の栄光が再び世界に差し込んだ。光と闇が分けられた。夕から朝へ一日が巡った。
第二日目、神は大空を作られた。生命を営むための空間だ。
第三日、大水が分けられ、海の中に陸があらわれた。神は、あらゆる植物を生えさせられた。
第四日、神は天に太陽と月、星々を造られた。天体の物質的な光が、昼と夜、それぞれを照らした。
第五日、最初の生き物たち、水の中を泳ぐもの、空を飛ぶものが造られた。「産めよ、増えよ」と神は言われた。
第六日、地上の生き物が造られた。そして、最後に人間が造られた。
神は命じられた。「産めよ。増えよ。地に満ちよ。地を従えよ。すべての生き物を支配せよ」
神は、新しく造られた世界の管理を人間に委ねられた。
神は、造られたすべてのものを見た。非常に良かった。天と地は完成された。
第七日、神はこの日を祝福し、聖なるものとされた。
2.最初の罪
最初の人、アダムは、土の塵から造られた。世界の中心にある最も豊かなエデンの園を、神はアダムに委ねられた。
エデンの園には、あらゆる木々が生い茂り、様々な実を結んでいた。神はアダムに命じられた。
「あなたは、園のどの木からとってもよい。しかし、善悪の知識の木からは食べてはならない。それを食べれば、あなたは死ぬ」
「人が一人でいるのは良くない」
神は、アダムの脇の肉と骨から、女を造った。男と女は、夫婦となり、再び一つとなった。
地上の生き物で最も賢いのが蛇だった。ある時、蛇は、女に言った。
「その木のどれからも食べるなと、神は本当に言ったのか」
女は答えた。「園の中央にある木からは、食べるな。触れてもいけない。死んでしまう、と神は言われました。」
蛇は言った。「決して死にはしない。それを食べれば神のようになり、善悪を知ることができる。神は知っているのだ」
女は実を取って食べ、夫に与え、夫も食べた。
二人の目は開かれ、二人は自分たちが裸だと知った。いちじくの葉をつづって腰を覆った。
夕刻に、神が園に来られた。二人は身を隠した。
神との約束を破った瞬間、人間は、神から断絶されていた。死とは、神との断絶のことだった。
男は女のせいだといい、女は蛇のせいだと言った。
神は、蛇を呪った。蛇は、賢さも美しさも失い、地を這いずりまわる者になった。
神は、蛇の背後で働いていたサタンに言われた。
「わたしは敵意を、おまえと女の間に、おまえの子孫と女の子孫の間に置く。彼はおまえの頭を打ち、おまえは彼のかかとを打つ」
神が告げられたのは、やがて女から生まれるメシアが、命とひきかえに、サタンを打ち負かすということ。
この時から、メシアの誕生を妨げようと、サタンはあらゆる妨害を重ねていくことになった。
罪のために、神から断絶された人は、その肉体も滅び、死を避けられなくなってしまった。
人は楽園を追い出され、生きるために苦労して働かなければならなくなった。子を産む苦しみも与えられた。
男と女の間の関係も壊れてしまった。男は力で、女は知恵で、お互いを支配しようとする、歪んだ関係が生まれてしまった。
神は、二人に、動物を屠り、その皮を着せられた。神と断絶された人間は、動物を犠牲にささげることで、かろうじて、神とのつながりを保つことができた。
3.最初の殺人
アダムとエバに、子が生まれた。この子こそ、メシアだと二人は期待し、カインと名付けた。
やがて弟アベルも生まれた。カインとアベルも、両親から引き継いで、折々に神へささげものをしていた。
ある時、カインは、畑の産物だけを神にささげた。一方のアベルは、その羊が最初に産んだ、まるまる太った大切な初子を神にささげた。
神は、アベルのささげ物は受け取られたが、カインのささげ物は目にとめられなかった。血の犠牲を伴わなければ、ささげ物ではないからだ。
怒るカインに、神は言った。
「なぜ怒るのか。あなたは、あなたを戸口で待ち伏せる、あなたの罪を治めなければならない」
カインは、アベルを野に誘い出し、殺した。
神は言われた。「あなたの弟アベルはどこにいるのか」
カインは答えた。「知りません。私は弟の番人でしょうか」
神は言われた。「何ということをしたのか。あなたはのろわれ、地上をさまよい歩く」
アダムとエバから、多くの人々が生まれていた。
復讐を恐れるカインの身が守られることを神は保証された。
カインは、やがて結婚し子をもうけ、町を建てた。子孫たちは繁栄し、牧畜を営み、楽器を奏で、道具や鉄で様々な道具を作り出した。
子孫のトバル・カインは、何人も妻を持ち、支配者となり、自らの力を誇った。敵対する者には、何倍もの復讐を返し、容赦なく殺した。
一方、アダムとエバに、セツという一人の男の子が生まれた。死んだアベルに代わり、神への信仰を受け継いだセツから、細々と、神を信じる者の系譜が接がれていった。
聖書が告げる意味
神が、天地を造られ、人間に委ねられた。
しかし、人間は、神との約束を破り、罪を犯し、神から断絶された。それが死だ。
人は、霊的に死んでいるので、肉体もやがて死んで滅んでしまう。
折り取られた枝の付け根がアダムなら、私たちは、枝の先の葉っぱ。やはり、神から断絶されている。
人が滅んでしまわないように、神は動物の犠牲をささげることを教えられた。犠牲の動物が流す血によって、人はかろうじて神様のつながりを保たれた。
しかし、動物の犠牲は、応急措置でしかない。本当の回復のためには、完全な犠牲が必要だが、罪を犯した人間は、犠牲にはなれない。
神が示されたのは、女の子孫に誕生するメシアの存在だった。メシアは、自分の命を犠牲にして、サタンに打ち勝ち、人を完全に神のものとして回復される。
それ以上のことは何も分からなかったが、人には、メシアによる希望だけが託された。
カインが最初の殺人を犯し、子孫に虐殺者が生まれたように、人はますます罪の闇に陥っていった。
アダムからセツへ、わずかな者たちだけが、メシアの約束を信じ、神への信仰を守り、受け継いでいったのだ。