⑫ヨシュア 主に従順な実践の人 キリストの型(影)
1. カナン征服の準備 1~5章
荒野で学んだ律法の実践編がヨシュア記です。ヨシュアは実践の人でした。
契約の箱を担いだ祭司が、ヨルダン川に足を踏み入れた時、川の水がはるか上流でせき止められ、民は干上がった川底を歩いて渡りました。
紅海の奇跡の再現は、ヨシュアがモーセの正統な後継者であることを証明しています。
若い世代は、出エジプトを追体験し、割礼によって神の約束を身に刻みました。
ヨシュアは、主の軍の将と出会い、この戦いは、主の戦いであると知らされます。
2. カナン征服の戦い 6~19章
主が示された通り、ヨシュアは、エリコの町を七日間まわります。
最後に角笛を吹き鳴らし、民が鬨の声を上げると城壁が崩れました。エリコの民に、イスラエルを通して神の裁きが下されたのです。
しかし、次のアイの町では敗北。民の一人アカンが神の命令に背いたことが原因でした。主の戦いは、完全に神の意志によらなければならないのです。
続くカナン南部の戦いでは、太陽と月が一日止まるという前代未聞の奇跡が起きました。これも創造主の業です。
前世代で唯一、ヨシュアと共に主への忠実を貫いたカレブは、激戦地を領地として求め、勝ち取っています。
3. 土地の配分 20~21章
12部族の土地の配分は、くじで決められました。
特に重要なのは、二つの有力部族のうち、ユダは南部を、エフライム・マナセは北部を得たこと。これが後の南北分裂につながります。
祭司のレビ族は、嗣業の土地を持たず、48の村に住みました。
ヨシュア自身は、最後に小さな土地を得ています。
4. ヨシュアの晩年 22~24章
23章の内容は、ヨシュアが民に遺した言葉です。
①未征服地は未だ残り、戦いは続く。
②律法を断固として守り行え。
③偶像崇拝の民と交わってはならない。
④これまで同様、神にすがれ。
ヨシュアは、民と契約を結び、改めて律法を確認させています。
この後、ヨシュアは逝去。享年110歳でした。
5. キリストの型であるヨシュア
ヨシュア(主は救い)の名は、イエスと同じ、イェシュアです。
モーセが、約束の地を前に逝去した一方、ヨシュアが民を約束の地に導き入れたことは、人は、律法(行い)ではなく、信仰と恵みによって救われることを示しています。
究極的には、主イエスだけが、救いに至る道なのです。
ヨシュアは、神にとって用いやすい、神に忠実な人でした。
決して特別な才能の持ち主ではありません。彼の活躍は全て主によるものでした。
ヨシュア自身の個人的なことは、ほとんど何も記されていないことが、それを物語っています。
また、ヨシュアは、律法を熟知し、神の約束が必ず成就すると確信していました。
彼が、アブラハム契約、モーセ契約、土地の契約のいずれも熟知していたことが遺言からも分かります。
ヨシュアは、約束の地を征服する途上で召されました。
私たちもまた、地上においては、完結することのない戦いにあります。
誰しも、自分の中に、自分ではどうしようもない欠けがあります。
それは、神ご自身に委ねる他ないものです。
自分の中にある、未征服の地とは何か? 問われています。