Q:日本人の先祖は、ユダヤ人なんですか?
目次
Q:日本人の祖先はユダヤ人だと聞きました。ユダヤ人のラビも言ってるとか。
確かに、神輿なんて、契約の箱そっくりかも!! ホントですか?
1. 言われてみれば、やっぱり?!
言われてみれば、白地に青線のタリートを著て、額に小箱(テフィリン)をつけたユダヤ人が、角笛を吹いている姿は、ホラ貝を吹く山伏の姿に、よく似ています。
二本の棒で担いだ契約の箱の贖いの蓋には対になって羽を広げたケルビムがあって、これもまさに神輿のよう。
幕屋と神社の構造だってそっくりだし、意味不明のお祭りのかけ声も、ヘブル語だと聞けば納得。
これはやっぱり、日本人の祖先はユダヤ人かも!!
…なんて、わたしも色めきたって、関連の本にはまって読んでたことがありました。
実際のところ、どうなんでしょう?
2. 世界中にある似たような話
日本人の先祖はユダヤ人だ、という主張を「日ユ同祖論」と言いますが、実は、同じような話は、世界中にあるんだそうです。
たとえば、イギリスには、アングロサクソンの先祖はユダヤ人だ、という「英ユ同祖論」があります。
自分たちの先祖は、いにしえの神の民だ、というのは、ミステリアスで惹かれる話なのだと思います。
しかし、確たる証拠もなく、学術的には、全く顧みられていません。
日ユ同祖論で、天皇をミカドというのは、十二部族のガド族の末裔なんだ、というのを読んで、おぉ~っと思ったことがあったのですが、
英ユ同祖論では、アングロサクソンのサクソンは、「アイザック・ソン(イサクの息子)」だとか、デンマーク(Danmark)はダン部族だとか言うそうで…。
それを聞いて、がっくりしました。他民族の姿を客観的に見ると、おかしいですよね?
結局、推測や語呂合わせの領域を出ないのです。
3. 失われていない十部族!!
失われた十部族を探しているというユダヤ人も実際にいて、失われた十部族の一つが日本にもやってきていた、と記した本も出版されてます。
でも、その著者。同胞のユダヤ人の中では、相当な変わり者扱いで、まともに相手されていない、なんて、残念な話も聞きました。
「失われた十部族」という言葉、たしかにロマンに溢れています。
これは、北王国にいたイスラエルの十部族がアッシリアに滅ぼされ、捕囚となったことから出てきた言葉です。
聖書にはっきり書いてあることですが、十部族は失われてはいません。
アッシリアの強制移住政策によって、イスラエルは中東各地に散らばりましたが、民族共同体は維持されていきました。
捕囚以前に、偶像礼拝に陥った北王国から、南王国に移住していた信仰者たちもいました。(Ⅱ歴代誌11:3)
ずっと後の新約聖書にも、アセル(アシェル)族の女預言者ハンナのように、失われたはずの十部族の名が登場します。(ルカ2:36)
70年のローマによるエルサレム陥落の時に、系図は破壊されてしまいましたが、12部族が失われたわけではありません。
各々の部族のルーツが分からなくなったとしても、イスラエルの血統は着実に受け継がれています。
そこが一番大切なところです。
4. 神がイスラエルを置いたわけ
アブラハムが導かれ、その子孫が王国を築いたカナンの地は、世界のハイウェイと呼ばれるところです。
ここは、肥沃な三日月地帯と呼ばれる地域の一部であり、欧州、アジア、アフリカをつなぐ交易路が通っていました。
そのため古くから争いも絶えることがありませんでした。
イスラエルは、世界で最も目立つ場所に置かれました。それは、神の名を世界の民に知らしめるためでした。
シルクロードの発着点が、中東であり日本です。
はるか西方の非常に強力な神を崇める民の話が、日本まで伝わってきていて、その摩訶不思議な力にあやかろうとして、形ばかりまねしてみた、という人がいても、何も不思議はありません。
5. ホントにそうだとしたら?
さて、百歩譲って、本当に日本人がユダヤ人の末裔だとしたら?
これは実は、とんでもなく大変なことになってしまいます。
表面上いくら似ているところがあると言っても、一番肝心な信仰の本質が、全く異なっているからです。
日本で崇められているのは八百万(やおよろず)の神々であり、イスラエルの神は、唯一絶対、全知全能の創造主です。
唯一の神以外を信仰の対象とすることは、偶像礼拝であり、律法で最も厳しく禁じられていることです。
日本人がユダヤ人なら、偶像礼拝という最も重い罪を、長年に渡って続けてきたことになってしまいます。
偶像礼拝への神の厳しさを、イスラエルの民は嫌というほど思い知らされています。
イスラエルが置かれたカナンの地も、実は、様々な偶像礼拝が蔓延していました。
その悪影響を受け、堕落したイスラエルは、厳しい裁きを受け、世界中に散らされて、今もその苦しみは続いています。
ユダヤ人は、地域の民と同化することすらゆるされず、常に迫害にさらされ、さ迷い続けてきました。
ナチス・ドイツによるホロコーストでは、六百万人が、凄惨な死を遂げています。
世界で、反ユダヤ主義が、絶えたことはありません。
神の選びの民の過酷な運命を思えば、ユダヤ人のようになりたいとは、軽々しく言えないと思い知らされます。
イスラエルの最大の罪は、ユダヤ人のメシアとして来られたイエスを拒んだことでした。
聖書には、世の終わりに世界を襲う大患難が来ることが預言されています。その目的は、イスラエルを裁き、民族的悔い改めに導くことです。
“ハルマゲドンと呼ばれる最終戦争で、全世界を敵に回し、滅亡の危機に陥ったユダヤ人は、そこではじめて、自分たちが突き刺したイエスこそ、メシアだと認め、悔い改めて、助けを求める。その時、主イエスが、王の王として地上に再臨される。”
それが、聖書に記された終末のタイムスケジュールです。
もし、日本人がユダヤ人の末裔であるなら、日本人のリバイバル、霊的覚醒は、大患難時代を通過した後でなければ起こらない、ということになってしまいます。
“個人的に信じて救われる人は、ユダヤ人同様ごくわずかで、ほとんどの日本人は、空前絶後の災厄に突入する。”
そういうシナリオを受け入れたい人は、さすがにいないと思うのですが…。
選びの民の使命と責任の重さを、改めて確認させられます。