聖徒伝87 ダビデ編③ Ⅰサムエル記21~22章 アヒメレクの死 「信仰者の試練の果てに」
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1.祭司の町へ・敵地への逃亡 21章
ダビデは祭司の町ノブを訪れ、祭司アヒメレクに食糧支援を申し出ます。
震えるアヒメレクは、状況を察しながらダビデの嘘に合わせたのでしょう。
ダビデは、聖別のパンとゴリヤテの剣を手にして去って行きました。エドム人ドエグがそれを目撃していました。
王に命を狙われては、国内に居場所はありません。ダビデが逃れてきたのは、ペリシテ人の町ガテでした。
しかし、警戒されたダビデは、ガテのアキシュ王に身柄を拘束されてしまいます。
ダビデは、気が変になったふりをして、解放され、難を逃れたのでした。
2.祭司の町の虐殺 22章
ダビデは、ユダのアドラムの洞穴に避難しました。そこに、家族や親族、王国の周辺に追いやられた者たち400人が集ってきました。
さらにダビデは、モアブに行き、両親の保護を求めています。
ダビデの曾祖母がモアブ人ルツ、遠い親戚関係にあります。国内でサウル王に命を狙われるよりは安全だと考えたのでしょう。
ダビデは、ユダの地に戻りますが、そのことが、サウルの耳に入ります。
猜疑心に捕らわれたサウルは、同族ベニヤミンで周囲を固めていましたが、彼の被害妄想は、息子ヨナタンを裏切り者扱いするまでにふくらんでいました。
王の激しい叱責に沈黙する部下たち。この時、口を開いたのがドエグでした。
ドエグは、祭司アヒメレクが、ダビデのために主に伺いを立て、食糧とゴリヤテの剣を与えたことを王に告げたのです。
アヒメレクを呼びつけ、謀反者のレッテルを貼る王に、聞く耳はありません。被害妄想は、罪の極みと言えます。
アヒメレクは、事実関係を否定せず、ダビデほど王に忠実な者はいないと、彼の正しさを訴え、王を諭しました。
王は、アヒメレク一族の死を宣告しました。
躊躇する家来たちに代わり、殺害を任務を負ったのがドエグでした。 85人の祭司が殺され、ノブの町は、乳飲み子にいたるまで虐殺されました。
アヒメレクの子エブヤタル一人が生き残り、ダビデの元に逃げ延びてきました。
3.希望はただメシアにある
ダビデが食べた聖別のパンは、律法で祭司の食糧とされているものです。しかし、ダビデの行為を、主イエスが弁護しています。
聖別のパンは、神の国で信者に与えられる永遠の恵みを示すものです。信仰者に約束された恵みを奪うことは、誰にもできないことなのです。
祭司エリの罪により、子孫の系譜が断たれることが告げられていました。アヒメレクの死も神の預言の成就です。
理解しがたいことですが、そもそも、世は不条理です。それは、人の罪の結果です。
世にあって誰も不条理から逃れられません。信仰者も苦しみを味わいます。
一つだけ言えるのは、苦難なくしてダビデの詩篇はなかったこと。
そして詩篇が究極的に示すのは、救い主・メシアに他なりません。
世は不条理で、人に救いはありません。苦難は、私たちの目をただメシアに向けさせます。
私たちの救い主をこそ見上げましょう。