㉑使徒パウロ 回心と献身 目からウロコのできごと
1. ステファノの殉教
国内のユダヤ人と海外育ちのユダヤ人の間の行き違いを埋めるために選ばれた7人の奉仕者の一人がステファノ。彼自身も海外育ちであり、ギリシャを駆使して伝道し、神に大いに用いられていました。
数十年後に迫ったエルサレム陥落を警告し、民へ悔い改めを説いたステファノは、神への冒涜容疑で逮捕され、裁かれます。
しかし、彼は逆に、神への背信を繰り返してきたイスラエルが、ついにメシアをも拒む大罪を犯したのだと宣告しました。
「天が開いて、人の子が神の右に立っておられる」とは、王なるイエスが立ち上がり、今まさに裁きを下そうとしているということ。ステファノの言葉を聞いた人々はそれを正確に理解しました。
逆上した民は、リンチ同然にステファノを殺害したのです。
「この罪を彼らに負わせないでください」という彼の言葉を、臨席したパウロは聞いていたことでしょう。
この後、激化した迫害を機にエルサレムを出た弟子たちによって、福音はサマリアに伝えられます。
2. サウロの回心
海外育ちのユダヤ人で、熱心なパリサイ派だったパウロは、弟子たちの迫害の先頭に立ち、イスラエルを出て、北部のダマスコまで追跡していきます。
そこで突如、天の光が照らし、地に倒れたサウロは、「わたしは、あなたが迫害しているイエスである」と聞いたのでした。
この出来事に込められた、イエスこそ神であるというメッセージを、律法の教師だったパウロは確かに受け止めました。
弟子のアナニアがパウロの下に遣わされると、サウロの目からウロコのようなものが落ちました。「目からウロコ」の語源です。
サウロは洗礼を受け、兄弟として弟子たちと食事を共にし、「ただちに」、イエスは神の子だと宣べ伝え始めたのでした。
3. 異邦人教会の誕生
聖も汚れもなくすべての動物を屠って食べよと命じられたペテロは、神を恐れる異邦人である百人隊長コルネリオにを尋ねてカイザリアを訪れます。
ペテロが福音を語っていると、異邦人に聖霊降臨が起こりました。これが、異邦人教会の誕生でした。
4. 宣教旅行
聖霊の促しにより第一次宣教旅行に旅立ったバルナバとサウロ。異邦人信者の増加に伴い開催されたエルサレム使徒会議で、異邦人も信仰と恵みによってのみ救われると確認されます。
続く二回目の宣教旅行で、さらに異邦人伝道が広がります。この時からサウロ(ヘブル名)は、パウロ(ギリシャ名)
へと記述が変えられています。
パウロは、福音宣教のために、ギリシャへと足を踏み入れていくのです。
5. まとめ
回心の直後から福音を宣べ伝え始めたパウロは、人生のすべてを主に献げ、従っていきました。
すべてを委ねるとは、人生の優先順位が変わることです。本当の使命に生きていくとき、人生の景色が変わります。
経験したことのない喜びが、日々に溢れていきます。私たちは、主に信頼して救われ、主に信頼して歩んでいくのです。