③ 「神の友・アブラハム」 イスラエルの父、諸国民の父
神の約束に生きた人々③
「アブラハム」 イスラエルと諸国民の父
1. アブラハムの生涯
アブラハムが、神の召命を受け、約束の地カナンにやってきたのは75歳の時でした。「レフレハ(あなたのためになるから行きなさい)」という神の命令を信じ、見知らぬ地まで旅したのです。
アブラハムの人生の転機は、重大な別離の度にやってきました。父と故郷との別れ。甥ロトとの別れ。愛する息子イシュマエルとの別れ。生涯の伴侶だった妻との別れ…。
神は、これらの人生の転機の度に、契約の内容を明らかにされ、百歳の時、アブラハムは、約束の子イサクを得ます。
2. アブラハム契約
何より重要なのが、神がアブラハムと結んだ契約です。主な内容は三つ。
①子孫の約束 …子孫を数えられないほどに増やす。
②土地の約束 …約束の地を与える。
③祝福の約束 …子孫の末からメシアが誕生する。
この契約は、神だけが責任を負う片務契約、無条件契約です。
ブラハム契約は、聖書全体を貫く大原則です。アブラハムの子孫から誕生するメシアによって、全人類が救いに導かれ、世界が回復されるのです。
神の約束が、私たちの救いの根拠です。
3. アブラハムの信仰
アブラハムは、神の約束を信じた、その信仰のゆえに、義(神の前に正しい者)とされました。救いは常に、信仰により、恵みによる。聖書の原則です。
人は、信じたときに救われますが、信仰が人格的に成長するには、時間がかかります。アブラハムもそうでした。
神の約束を信じ切れず、嘘をついて、危機に陥ったことがありました。同じ過ちを繰り返すこともありました。アブラハムは、生涯を通じて、神は一度結んだ契約を、絶対に守る方だと学び、信仰を深めていきました。
ようやく与えられた息子イサクを、神に命じるままに献げる決意ができたのも、信仰の成長の結果です。神の約束のゆえに、イサクは死んでも死なないと、イサクの復活を信じたのです。
4. アブラハムに学ぶこと
アブラハムが、生涯で手放したのは、生まれ育った古い価値観・世界観、価値観の異なる肉親、利己的な肉の思い、そして、愛するひとり子でした。
しかし、それ以上のものを神ご自身は、私たちのために手放したのです。それが、神のひとり子、イエス・キリストです。
「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。ヨハネ3:16」
アブラハムは、地上の様々なものを手放し、永遠に失われることのない命を得ました。彼の受けたすべての約束は、最終的には、回復された世界(千年王国)で完全に実現されます。
私たち自身も同様に、この地上のすべてのものを手放す時が来ます。でもそれは、永遠に失われることのないものを得るためなのです。