Q:この教会だけが、正しい教会? 普遍的教会と地域教会 教団、教派、集会、フォーラム、呼び名はいろいろありますが…。
目次
Q:指導者が、ここだけが正しい本当の教会だと言います。他の教会の方との交わりや一緒の学びも、ダメだと言って制限されて、すごく窮屈で…。
1.ここだけが正しいと言う人々
ある教会では、他の教会員との交わりが厳しく制限されていて、結婚の相手も、ここの教会員でなければならないと言われていたそうです。
しかし、教会内には相手もなく、どうしたらいいのか、困っているという話でした。
この教団、この教団、この集会…。自分たちだけが正しいと主張するグループは、少なくないようです。
しかし、“自分たちは、唯一正しい神の組織である”というのは、カルトやカルト的教会の常套句でもあります。
そもそも、“自分たちだけが正しい、本物の教会だ”という主張すること自体、どうなのでしょうか?
その主張は、果たして聖書的に本当に正しいのでしょうか?
2.聖書フォーラムは、唯一正しい?
私たち鹿追キリスト教会は、聖書フォーラムというグループに連なっています。
聖書をヘブル的視点から、本来の文脈に従って読み解くことを何より大切にしています。
正しい聖書解釈に基づく学びがあり、解き明かしがあり、一人一人の自立を促し、共生していく。
神学的にも組織的にも、正しい教会観に立ったグループであると、私は信頼しています。
だからこそ、驚くような勢いで、各地に新たなフォーラムやバイブルスタディのグループが生まれているのだと思います。それは、一つのしるしです。
しかし、聖書フォーラムが、すべてにおいて正しいなどとは、思いません。
個々の現場では常に、様々な課題がありますし、葛藤も絶えることはありません。試行錯誤の日々です。
世界的な流れで見れば、大教会中心の時代から、家の教会のような小さなグループによる教会形成の時代に移りつつあります。
インターネットで、優れたメッセージをいくらでも聞き、学びを深めることができるからです。
自発的な学びを通して、所属教会のカルト性に気づく人々もいます。
聖書を礎に、神と個人的な関係を築きつつ、小さな共同体を育み始めている。使徒の時代を思わせるような、地道ながら生き生きとした群れが、そこかしこに誕生しています。
それでも、個々の群れには、やはり問題はつきないのです。
3.神の国について知っておこう
① 地上における神の国 ~イスラエル、教会~
地上における神の国は、まずイスラエルを通して現れました。
神は、アブラハムを選び、その子孫であるイスラエル民族によって、地上に神の国を建てられたのです。
しかし、イスラエルにおいて、真の信仰者はいつの時代も少数でした。神への背きを重ねた末、王国は滅びました。
イスラエルへの神の約束は、決して破られることのない永遠のものです。
イスラエルが真実の神の国として建てられる時は、必ずやってきます。それが、メシアが王として来られる再臨の時なのです。
今の時代における神の国が、福音を信じたユダヤ人と異邦人からなる「教会」です。
「教会」は、ギリシャ語の「エクレシア」の訳です。「呼び出された人々」を意味する言葉です。
「教会」とは、神によって呼び出された人々の集いなのです。
② 普遍的教会と地域教会
本当の意味での教会は、いつの時代もただ一つ。キリストを頭とする一つの体です。これを「普遍的教会」と言います。
使徒信条で、「公同の教会」と唱えられているのは、まさに、この「普遍的教会」のことです。
また、カトリックとは、普遍、公同という意味のギリシャ語からとった言葉です。
この「普遍的教会」は、真の信者だけの、真実の教会です。
福音を信じて、ただ恵みによって救われたすべての人は、紛れもなく、この「普遍的教会」の一部とされています。
しかし、普遍的教会は、目には見えません。
カトリックのように、普遍的教会を名乗っている教団・教派もありますが、地上にある人間の組織は、どうあっても普遍的教会とイコールではありません。
私たちの目に見える形で地上に存在する教会は、大きな教団教派も、個々の教会や集会も、すべて「地域教会」です。
「地域教会」には、真の信者と偽りの信者が混ざり合っています。そこには、常に偽の教えが入り込み、悪魔が巣くおうとするのです。(マルコ4章他)
この戦いは、真実の教会が天に挙げられる時まで、止むことはありません。
4.平安というしるし
聖書的に考えるなら、目に見える地上の教会組織が、唯一絶対に正しいなんてことはあり得ません。
どんなに伝統ある大きな教団であっても、成長著しい大教会であっても、小さな群れであっても同じです。
もし、あなたが完全に理想的な教会を地上で探しているなら、大変な見当違いです。この時代には決して見つけられません。
しかし、目には見えない普遍的教会は、ペンテコステ以降ずっと、存在し続けています。
私たちが福音に堅く立ち、神の意図に従って聖書を学ぶとき、“確かに私は、普遍的教会に連なっている”という、平安を与えられるのです。
世の終わりまで、主イエスが共におられると言われた、その約束を実感することができます。
5.聖書に基づく教会観の上に!!
この時代における地上の教会は、常に、発展途上であり、成長の過程にあるのだと理解しましょう。
クリスチャン個人に、個人的課題が尽きることがないのと同じです。
教会が完成するのは、携挙の時です。真の信者は、キリストの花嫁として、主イエスのもとに挙げられます。
私たちは、その日を待ち望みつつ、普遍的教会であるキリストの体の一部として、働き続けていくのです。
福音を伝え、聖書を解き明かし、学びあい、恵みを分かち合っていく。二千年来続けられてきたそのことを、私たち一人一人もまた、世の終わりまで続けていくだけです。
教会が携挙された後、世界は、7年間の大患難時代に突入します。
そして、空前絶後の大災厄の終わりに、イスラエルが民族的悔い改めに導かれ、メシアを求めたその時、主イエスは、王の王として再臨されます。
エデンの園のように回復された世界ではじめて、教会は、イスラエルと共に、地上における唯一絶対の正しい神の組織とされるのです。
今の時代に、唯一正しい教会など、存在しません。そんなことを主張すること自体が、大きな間違いです。
私たちの属する地域教会は、常に様々な問題を抱えています。葛藤は絶えることはありません。
しかし、教会が、完全な理想の組織として地上に建てられる時は、必ずやってきます。
この終末的希望をしっかりと胸に抱いて、今を歩んでいきましょう。
将来については、楽観的。現在においては、あくまで現実的。未来に希望を抱き、今を見据えていく。それが、クリスチャンのあるべき姿だと思います。
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Q:「神の国」「天の国」って、なんのことですか?