⑯洗礼者ヨハネ 最後の預言者 道備えとメシアの宣教開始
1. 最後の預言者ヨハネ
ヨハネが誕生した時に、父ザカリアが預言したことは、最後のメシア預言であり、旧約の預言の集大成と言えるものです。
アブラハム契約の成就としてのメシア誕生以前に、ヨハネが道備えをし、神の民に予備知識を与えることが預言されています。
ヨハネは、ユダの荒野で悔い改めのバプテスマを民に施しました。信じて救われるための前提として必要なのは、自分は救いが必要な罪人だと認めることです。
パリサイ派は、ユダヤ人なら誰でも神の国に入れると教えていました。
2. イエスのバプテスマ
尊敬された偉大な預言者ヨハネ。しかし彼は、自分はメシアの前には、靴紐をとく値打ちもない、奴隷以下だと言いました。
そこに現れた、メシア、イエスは、ヨハネからバプテスマを受けます。
イエスは、究極の犠牲の子羊として、へりくだって人となり、人の罪を負って死に、復活するために来られました。
イエスは、その使命に「染め上げられた」、つまりバプテスマされたのです。
その時、聖霊が降り、父なる神の声が聞こえました。
「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」 マタイ3:17
父子聖霊の三位一体の神が同時に顕現している光景は、イエスこそ、罪なき神のひとり子だと明らかにしています。、
3. イエスの宣教の開始
バプテスマの直後、イエスは40日間断食され、悪魔の誘惑を律法の言葉によって退けました。
紅海を渡って救い出されたイスラエルが律法を破り、40年、荒野を放浪した間も、天のパン、マナが与えられ続けたこととは対照的です。
この後、洗礼者ヨハネの弟子だったヨハネやペトロが、メシアの弟子となります。さらに後、彼らはガリラヤ湖畔でイエスにスカウトされ、フルタイムの弟子となっています。
水をぶどう酒に変えたカナの最初の奇跡は、イエスの十字架の血潮こそが人々の罪を清めることのしるしでした。
故郷ナザレを追われたイエスは、辺境の地、「異邦人のガリラヤ」で宣教を開始されたのでした。
4. 洗礼者ヨハネの死
ヨハネは、不貞の罪を告発したことで、領主ヘロデに捕らえられ、殺されました。
妻へロディアの謀略により、首をはねられ、さらしものとされたのです。
死の間際、獄中で不安に捕らわれたヨハネは、本当にメシアなのかとイエスに問うています。
「目の見えない者が見、足のなえた者が歩き、ツァラアトに侵された者がっきょめられ、耳の聞こえない者が聞き、死人が生き返り、貧しい者たちに福音が宣べ伝えられている…」 ルカ7:22
これがイエスの答えです。
律法学者がメシアの証拠としていたことを、イエスはことごとく行われました。
ヨハネは、最後の預言者として、メシアを直接人々に紹介する、最大の務めを果たしました。
旧約聖書の預言者たち同様、厳しい迫害の後に、悲惨な死を遂げたヨハネですが、彼の心は平安で満ちていたと確信します。
イエスの言葉を、ヨハネは信じて受け取りました。メシアの生きた約束の言葉によって、ヨハネは慰められ、やがてくる神の国を永遠に生きる確信を与えられたのです。