⑪モーセ 荒野の40年 土地の契約
1. カデシュ・バルネア事件
シナイ山での一年間で律法を学び、幕屋を建てたイスラエルの民は、いよいよ約束の地に向かって出発します。
しかし、民の不平が再び噴出。極めつけがカデシュ・バルネア事件でした。
豊かな産物を持ち帰ったカナンへの偵察隊でしたが、あんな屈強な民には勝てないとしり込みし、指導者を替えてエジプトに帰ろうと言い出したのです。
モーセの必死のとりなしで、イスラエルは滅びこそ免れました。
しかし、主を信頼して進軍を訴えたカレブとヨシュア以外、この世代の者は、約束の地へ入ることを拒まれたのでした。
2. モーセの失敗
このしばらく後、民はまたしても水がないと不平を言います。
岩に命じるよう主に言われたモーセは、怒りにまかせて岩を二度打ちます。
このためモーセは約束の土地に入れなくなったのでした。
岩はメシア、岩を打つのは、十字架の贖いを現します。
メシアの贖いは一回きりで完全なものなのです。
3. 土地の契約
40年の放浪の末に辿り着いた約束の地の手前、モアブで、神は新たな契約を結ばれます。
これが「土地の契約」です。
土地の契約は、アブラハム契約の、土地の契約の発展版です。
主な内容は、以下の二つです。
①イスラエルの民は、神に背き、約束の地を追われるが、再び集められる。
②約束された地を完全に所有する時が来て、イスラエルは完全に祝福される。
これは無条件契約です。民の背きによって土地の占有権は失っても、所有権は不変だと約束されています。
イスラエルが不信仰に陥っても、土地の約束自体は失われることはないのです。
4. 律法が示す救いの原則
モーセの失敗直後、またもや不平を言う民を、神は毒蛇で裁きました。
この時、神はモーセに青銅の蛇を造らせ、蛇を見上げた者は命をとりとめたのです。
この青銅の蛇が指し示すのは、十字架の贖いであると、イエス様自身が語られています。
“ただ信仰によって救われる” それが救いの原則です。
今の時代に信ずべきことは、キリストが、私の罪のために十字架で死に、葬られ、復活した、という福音だけです。
5. モーセが願い、実現したこと
一人で、指導者としての重責を負ったモーセは、「主の民が皆、預言者となればよいのに(民11:29)」と願いました。
これは、キリストの昇天後、ペンテコステの聖霊降臨によって実現されました。
モーセが切に求めた、メシアの到来と聖霊降臨。これがすでに実現された時代に私たちは生かされています。
約束の地に入ることはできなかったモーセ。しかし、その死に際は、平安が満ちていたと、わたしは確信します。
なぜなら、神の約束は絶対だからです。
世界が回復された千年王国において、モーセは、約束の地の恵みを存分に味わわされることでしょう。
「モーセが荒野で蛇を上げたように、人の子もまた上げられなければなりません。」 ヨハネ福音書3:14
(※画像は、イスラエル観光省のシンボルマーク。カデシュ・バルネア事件の時、偵察隊が、二人がかりで一つのブドウの房を持ち帰ってきた出来事に根ざしています。)
【メッセージ要旨:2017/07/9】